砂漠界の美のカリスマ ヒトコブラクダ

ヒトコブラクダです。

気軽にラクダと呼んでくれたまえ。

どうもありがとう。

ステゴくんの背中も素敵だよ。

ステゴくんは、僕たちの背中のコブの秘密を知っているかい？

うーん、お見事。

しっかり予習してくれているようで嬉しいよ。

砂漠には食べものも、水も少ないからね。

このコブに脂肪が蓄たくわえられているから、

長時間ごはんを食べなくても耐えしのぐことができるんだ。

僕たちは2週間くらいであれば、水を飲まなくても生きていけるよ。

節約上手なのさ。

へぇ、鋭するどいね。

そのとおり。

僕らは体の水分を維持いじするために、特殊な体のつくりをしているんだよ。

胃の中には大量の水をためておくこともできるし、

体の3分の1くらいの水分がなくなっても生きていられる。

基本的に、ほ乳類は汗をかいたりして体温をコントロールするのだけど、

僕らは体温が42℃に達するまで汗をかかないんだ。

ただの節約上手だけでやっていけるほど、砂漠は甘くないよ。

おトイレの際だって、極力きょくりょく水分を失わないような内臓ないぞうのつくりにもなっている。

それだけ水というのは、価値あるものなんだよ。

自慢のチャームポイントのひとつだね。

僕もコンテスト出場者だよ。

まだ優勝したことはないけどね。

この賞金ほしさに、美容整形を受けて出場するラクダもかなり多いんだ。

人生が変わるほどの高額賞金だからね。

美容整形を受けるという不正をはたらいても、優勝したいと思う者は多いよ。

顔立ちやコブの形状、首筋の美しさなどが審査対象しんさたいしょうになっているんだけど、

シワを目立たなくしたり、頭を大きく見せるためにプチ整形をするみたいだね。

美しさとは程遠い、イヤな問題だよ。

僕たちはレディにアピールする時に、口から泡を出すんだ。

この泡には、テストステロンという男性ホルモンが多く含まれているから、

口からたくさん垂らして、ニオイでアピールするのさ。

あとは、口の中にある口蓋こうがいという部分を膨ふくらませて口から出すことで、

アピールもするよ。

口から内臓を出してるようにも見えるんだけど、特別に見てみるかい？

そうかい？

じゃあまたの機会にしようか。

お話できて楽しかったよ。

次来たときこそは、口蓋を見せてあげるよ。

過酷な砂漠を生きるために、僕たちは進化してきた。

誰よりも水の大切さを理解しているつもりだし、生きる厳しさも理解している。

この美しさは、僕の内面から出ているものでもあるんだ。

見た目の美しさがすべてではないと僕は思っているよ。